妊娠中に気になることと言えば、「虫歯は胎児に影響するのか?」ということです。妊娠中に気になることと言えば、「虫歯は胎児に影響するのか?」ということです。今回のコラムでは、妊娠中の虫歯と胎児への影響について解説します。また、正しいケア方法についても紹介しますので、チェックしてみましょう。
目次
妊娠中に虫歯になった場合の胎児への影響について
妊娠中は、通常時と異なり、口腔環境なども変化するため、虫歯や歯周病のリスクが高まると言われています。そこで気になるのが、妊娠中に虫歯になった場合の胎児への影響についてです。どのような影響があるのでしょうか?
●虫歯が直接胎児にうつることはない
まず、最も気になるのが、妊娠中に虫歯になってしまった場合、胎児にどのような影響が出るのか、ということです。結論から言えば、妊娠中に虫歯になっても、それが胎児に直接的な影響を与えることはないとされています。ですが、出産後に赤ちゃんへ虫歯菌をうつしてしまう可能性には注意が必要です。例えば、同じスプーンや箸を使ったり、キスをしたりすることで、赤ちゃんへ虫歯菌が感染するケースがあります。そのため、妊娠中からのケアが、赤ちゃんの将来の虫歯予防にもつながるといえるでしょう。
歯周病に感染している場合、早産・低体重児出産のリスクが上昇
妊娠中に虫歯とともに注意しなければならないのが「歯周病」。この歯周病の怖いところは、妊婦だけでなく、胎児への影響が大きくなるリスクがあるということです。
NPO法人日本臨床歯周病学会の「歯周病と妊娠」という資料によれば、次のようなリスクがあると指摘されています。「早産」「低体重児出産」のリスクです。
【歯周病のある妊婦 早産・低体重児出産に対する歯周病の危険率】
- 早産・低体重児出産:2.83倍
- 早産:2.27倍
- 低体重児出産:4.03倍
これらの数字は、喫煙や高齢出産などのリスク要因と比較しても高い水準とされており、妊娠中の歯周病予防・治療の重要性が強調されています。
リスクを小さくするための正しいケア方法について
早産や低体重児出産のリスクを小さくするためには、どうすればよいのでしょうか?
家族間のケアを欠かさない
虫歯や歯周病は、妊婦だけが注意すればよいというものではなく、一緒に生活している家族や頻繁に会う家族なども一緒に、予防や治療をしなければならないということです。妊婦が虫歯や歯周病でなくても、他の家族が虫歯や歯周病であれば、さまざまなリスクが上昇してしまいます。虫歯を治療せずにいれば、出産後に虫歯菌がうつる可能性がありますし、歯周病菌がうつり、歯周病を発症する可能性があるのです。
ですから、リスクを小さくするための正しいケアとしては、妊婦だけがケアをするのではなく、家族全員でケアを行うのが正しいと言えるでしょう。家族に虫歯や歯周病を放置している人がいたら、できるだけ早く歯科医院で治療を受けるように促しましょう。
セルフケアを丁寧に行う
虫歯や歯周病を予防するためには、毎日の丁寧なセルフケアが重要です。磨き残しがないように、しっかりと時間をかけて、丁寧にセルフケアを行いましょう。それから、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使うのも効果的です。また、ただセルフケアを行うというだけでなく、正しい方法で行うことも大切です。
定期的に歯科医院を受診する
毎日のセルフケアは非常に重要となりますが、セルフケアだけでは十分とは言えません。もう1つ重要となるのが、定期的に歯科医院を受診することです。歯科医院に定期的に行くことで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療を実現することができます。また、虫歯や歯周病は初期段階では、痛みなどがなく、自覚症状もないため、気づかずにそのまま進行してしまうことがあるのです。歯周病は、進行してしまうと、胎児への影響はもちろんですが、大切な歯を失うリスクが上昇してしまいます。ですから、そのようなリスクを小さくするためにも、定期的に歯科医院を受診するようにしましょう。
まとめ
妊娠中の虫歯は胎児に直接的な影響を与えることはありませんが、出産後に赤ちゃんへ虫歯菌がうつるリスクは存在します。また、歯周病は早産や低体重児出産との関連が報告されているため、妊娠中からの予防と治療がとても重要です。
妊婦さんご本人はもちろん、ご家族も一緒になって口腔ケアを心がけることで、赤ちゃんの健やかな成長につなげましょう。
この記事の著者
院長・歯科医師 西本雅英
平成2年
SJCDベーシックコース修了
藤本研修会補綴コース修了
MSPDマイクロスコープコース修了
SJCDマイクロスコープコース修了
平成9年4月
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
日本顕微鏡歯科学会
京阪神咬合臨床研究会